私は妻と結婚して10年という節目を迎えました。1人娘はまだ学生ですが手がかからないくらい大きくなりましたし、夫婦仲もラブラブでつい先日10年記念で夫婦2人で旅行に行ってきたくらいです。「結婚は墓場だ」という人がいますが、なぜそういわれるのか分からないくらい私は幸せな生活を送っています。しかしある日、職場の同僚から「浮気をしたことはないのか」と尋ねられました。妻だけで満足している私はもちろん「YES」という返答をしましたが、男としてそれはあり得ないと言われました。男性の心理としては、いくら本命の女性がいたとしても動物の本能で浮気をしたいと思うものだと言われたのです。その時は生返事で返していましたが、そのことがなんとなく気になってしまうときもありました。
周りに女っ気がない私にとって浮気というのは縁もゆかりもないと思っていました。しかしある時その日常に変化が訪れたのです。それは同僚と一緒にスナックを訪れた際のことでした。会社の付き合いだから仕方がないと妻も認めてくれているので私は後ろめたいこともなく足を踏み入れたのが失敗だったと今になれば思います。キレイなお姉さんが何人か席について一緒にお酒を飲んでいたのですが、その時に私の隣についた女性がいろいろと聞いてきました。奥様はどんな人ですか、どんなきっかけで知り合ったのですかなどまるで女子の恋バナのようでした。私が答える前に一緒に来た同僚が調子よさそうに答えていました。「ラブラブなんですね」と女性たちは手を合わせてにこやかに会話をしていたのですが、そこで「浮気はしたことないのですか」と聞かれました。「ないです」と答えましたが、女性は続けます「したいと思ったことはないのですか」と。それに対しても私は「ない」と答えました。
後日スナックの女性からラインが届きました。ただの営業だろうと相手にしていなかったのですが、それから毎日ささいなことでラインを送ってくるようになりました。最初は鬱陶しいと思ったりもしたのですが、しつこいわけではなかったので適当に返していました。それがある日突然ラインが来なくなり、私はふと心配になりました。それがきっかけでスナックに行ってみると、彼女は携帯が壊れてラインが送れなかったのだと言っていました。私はそれを聞いて安心したのと同時に彼女の存在を必要としていることに気づきました。恋と呼んでいい物なのかどうかは分かりませんでしたが、それが初めて「浮気をしたい」と思った瞬間でした。